ウサギ島の魅力と意外な過去

瀬戸内海に浮かぶ小さな島、大久野島。数えきれないほどのウサギが自由に暮らす光景は、訪れる人を魅了し、国内外から多くの旅行者が足を運びます。
のんびりと草を食べる姿や人懐っこく近づいてくる仕草は、まるで絵本の中の世界に迷い込んだような感覚を与えてくれます。しかし、この愛らしい島には、第二次世界大戦中に毒ガスが製造されていたという、驚くほど暗く重い歴史が隠されています。
この記事では、島の魅力や観光情報に加えて、なぜこれほど多くのウサギが暮らすようになったのか、その歴史的背景や現在の大久野島が抱える課題についても詳しく解説します。
訪れる前に知っておきたい情報をまとめ、学びと感動の両方を得られる旅のお供となることを目指します。

愛らしいウサギたちの楽園にも、暗い過去というもう一つの顔があるんだにゃ…。歴史を知ることで、この島での旅がもっと深く心に残るものになるはずにゃ!
大久野島の基本情報とウサギの魅力


島全体が「ウサギの楽園」
大久野島は「ウサギ島」とも呼ばれ、国内外から年間を通じて多くの観光客が訪れる人気スポットです。島内には数百羽ものウサギが自由に暮らしており、人懐っこい姿や愛らしい仕草で訪れる人々を楽しませてくれます。
島のあちこちでウサギが草を食べたり日向ぼっこをしたりする光景が広がり、訪れた人は自然と笑顔になり、思わず写真を撮りたくなるでしょう。季節ごとに景色の表情が変わり、春は花々に囲まれた華やかな雰囲気、秋は紅葉と柔らかな日差しの中でウサギたちと触れ合える特別な時間が流れます。
夏には青い海と青空の下でのんびり過ごせ、冬には澄んだ空気の中で静かな島の魅力を堪能できます。
宿泊やレジャーも楽しめる
島内には宿泊施設の休暇村大久野島やキャンプ場があり、宿泊客は夜の静かな島で満天の星空を眺めたり、朝の散歩でウサギたちと触れ合ったりする特別な体験ができます。
さらに、サイクリングや海水浴、釣り、バーベキューなどのアクティビティも充実しており、家族連れやカップル、友人同士など幅広い層に人気です。
宿泊することで、昼間とは違った島の表情や夜ならではの静けさ、朝日に照らされたウサギたちの姿も楽しむことができ、日帰りでは味わえない特別な思い出が作れるでしょう。



自然やアクティビティも豊富で、
泊まりがけなら昼も夜も満喫できるにゃ!
なぜ大久野島にウサギが多いのか?


ウサギたちの起源(定説)
現在の大久野島のウサギたちは、戦時中に飼育されていたウサギの子孫ではありません。1971年、地元の小学校で飼い切れなくなった数羽を島に放したことが始まりとされています。
これらのウサギは、島の穏やかな気候や豊かな自然環境に恵まれ、天敵が少ないこともあり急速に繁殖しました。その結果、現在では数百羽以上のウサギが暮らす「ウサギ島」として国内外で知られる人気の観光地となっています。
戦時中の実験用ウサギとの関係
戦時中、この島には毒ガス工場があり、実験のために多くのウサギが飼育されていました。ウサギは化学兵器の影響を調べるための実験動物として扱われ、過酷な運命をたどったといわれています。
しかし、終戦後、GHQの命令で実験用ウサギはすべて殺処分されたと記録されています。このため、現在のウサギたちは戦後に新たに持ち込まれた個体群の子孫であり、戦時中のウサギたちとは直接の血縁関係はありません。
こうした歴史を知ることで、今のウサギたちが持つ「平和の象徴」としての存在の意味が、より深く理解できるでしょう。



ウサギの起源を知ると、
この島の成り立ちがよく分かるにゃ!
大久野島の毒ガス工場と資料館の過去


毒ガス工場の歴史
第二次世界大戦中、この島は日本陸軍による毒ガス製造の拠点として極秘に利用されていました。当時は国家機密として扱われ、島で行われている活動は周辺住民にもほとんど知らされていなかったといわれています。
地図からも削除され、「地図から消えた島」と呼ばれるほど存在が徹底的に隠され、島全体が軍事施設として機能していました。島には複数の建物や工場が建てられ、化学兵器の開発・製造が行われ、多くの作業員が危険な環境で働いていた歴史が残されています。
資料館で学べること
現在の毒ガス資料館には、当時の設備や道具、製造工程を示す貴重な資料や写真が数多く展示されています。展示物には、工場で実際に使われていた器具や作業着、製造過程を再現した模型なども含まれ、訪れた人が当時の現場をより具体的に想像できるようになっています。
さらに、戦争の悲惨さや平和の大切さを伝えるパネルや映像資料も豊富に用意されており、訪れる人は深い学びと考えるきっかけを得られ、戦争の記憶を未来へと伝える重要性を強く感じることができます。
観光と学びの両立
資料館で歴史を学ぶことで、島で過ごす時間はより深みを増し、旅の意義も大きく変わります。展示を通じて、戦時中の人々がどのような生活を送り、どのような過酷な状況に置かれていたのかを知ることで、平和の尊さや命の重みを改めて実感できます。
さらに、資料館での学びは、単なる知識の習得だけでなく、過去の出来事を未来に伝えていく責任を考えるきっかけにもなります。訪れる人々は、展示を見ながら多くの思いを巡らせ、戦争の悲惨さを二度と繰り返さないために何ができるのかを考える大切な時間を過ごせるでしょう。



島の過去を知ることは、旅をもっと特別なものにする大事なポイントだにゃ!
ウサギと安全に触れ合うための観光マナー


基本ルールとその重要性
ウサギたちと楽しく安全に過ごすためには、訪れる人が守るべき基本的なルールがあります。これらを理解し実践することで、ウサギも人も安心して過ごせます。
ウサギを驚かせない・道路でふれあわない
ウサギは臆病で繊細なため、追いかけ回したり道路や道路脇で触れ合ったりすると強いストレスを感じ、事故やケガの危険があります。島内にはバスや自転車も走っているため、安全のためにも道路付近での接触は避けましょう。
特に観光シーズンは道路の交通量も増えるため、より注意が必要です。
餌やりの注意点と禁止事項
大久野島内でウサギの餌は販売されていないため、フェリーに乗る前に忠海港でウサギ専用のペレットを購入しておくのがおすすめです。もちろん、ご自宅で使っているウサギ専用の餌を持参しても構いません。
野菜を与える場合は、食べ残しを防ぐためにも小さく切ってから与えましょう。また、水分が多い生野菜の与えすぎはウサギのお腹を壊す原因になるため、注意が必要です。お菓子やパン、加工食品は、塩分や油分、アレルギーの原因となり、ウサギの健康を害してしまいます。絶対に与えないでください。
また、ウサギが食べ残した餌は、必ず回収して持ち帰るようにしましょう。放置をすると、それを目当てにネズミやイノシシが集まり、島の生態系を乱したり、人やウサギを襲う危険があるためです。
抱っこは絶対NG!
ウサギは抱っこに慣れておらず、落下による骨折や怪我の危険が非常に高い動物です。抱っこされること自体が大きなストレスとなり、体調を崩す恐れもあります。
ゴミは必ず持ち帰る
島の自然環境を守るため、ゴミは必ず持ち帰りましょう。美しい自然を未来に残すため、一人ひとりの心がけが大切です。



ウサギに優しく、自然にも優しく。
みんなでルールを守れば、この島はもっと素敵な場所になるにゃ!
まとめ | ウサギ島で得られる気づきと感動


癒しと歴史、二つの顔を持つ大久野島
大久野島は、可愛らしいウサギたちとの触れ合いを楽しめる癒しの場所であると同時に、戦争の暗い歴史を背負った特別な島でもあります。ウサギと過ごす穏やかな時間は訪れる人に癒しを与えてくれますが、同時に資料館で知る過去の出来事は、平和の大切さを強く考えさせてくれます。
この二つの側面を理解することで、旅は単なる観光以上の意味を持ち、学びと感動が交わる深い体験となります。島の歴史や背景を知ることで、目の前の光景がより一層重みを持ち、心に長く残る思い出となるでしょう。
歴史を知ることで深まる旅の価値
観光を楽しみながら島の過去に触れることで、旅行者は学びや気づきを得ることができます。歴史を知ることで、ただの観光体験では味わえない深い感情や考えを抱くきっかけにもなります。
資料館で戦争当時の状況や人々の暮らしを学び、さらに島で自由に暮らすウサギたちと触れ合うことで、過去と現在が交差するこの島の特別な姿をより立体的に理解できるでしょう。訪れる人は、平和の大切さや命の尊さを改めて感じながら、この体験を心に刻むことができます。



癒しも学びもある、この島の魅力をたっぷり味わってほしいにゃ!
大久野島へのアクセスと観光のポイント
項目 | 詳細 |
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アクセス | ・JR呉線「忠海駅」で下車。 ・忠海駅から忠海港まで徒歩約5分。 ・忠海港からフェリーで約15分。 |
観光の準備 | フェリー乗り場でウサギの餌が購入可能。 |
島内の主要スポット | ・毒ガス資料館 ・休暇村大久野島(宿泊・温泉) ・キャンプ場 ・ビジターセンター ・散策路、展望スポット |