はじめに|移住前に知っておきたい「命」を守る仕組み

離島移住で不安になりやすいのが「医療」です。 夜間の急病、持病の薬、救急搬送など、本土と同じ感覚ではいきません。
ただし離島の医療は、診療所を軸に中核病院・島外搬送と連携して成り立っています。 事前に確認ポイントを押さえれば、不安はかなり減らせます。
この記事では、医療体制の基本と移住前チェックリストを整理します。
【POINT】離島医療の要点
- 体制: 多くの島は診療所中心。重症は中核病院や島外連携へ。
- 緊急: ドクターヘリは原則日中運航。夜間・荒天は制約(地域差あり)。
- 準備: 紹介状・お薬手帳・検査データ+欠航を見越した備蓄とリードタイム確認。

やあ、ココロ船長だにゃ!身体が資本の島暮らし、病院や診療所の場所は先に押さえておくにゃ。いざという時のために備えるんだにゃ!
離島の医療体制|「病院」と「診療所」の違い


まず理解しておきたいのが、島によって医療施設の充実度が大きく異なるという点です。 「離島=無医村」ではありませんが、本土と同じ感覚でいるとギャップに驚くことになります。



自分の住みたい島がどっちのタイプか、まずはそこからチェックだにゃ!
大きな島には「病院」がある
人口が多い離島(佐渡島、奄美大島、石垣島など)には、入院設備を持つ「中核病院」があります。 ある程度の手術や救急対応も可能で、本土に近い安心感があります。
【CHECK】中核病院がある島の特徴
- 診療科の充実: 内科・外科に加え、小児科や産婦人科などが揃っている。
- 高度な設備: CTやMRIなどの検査機器があり、入院ベッドも確保されている。
- 救急体制: 夜間救急に対応している場合もあるが、体制は島や病院によって異なるため事前確認が必要。
【POINT】受診する際のルールとマナー
- 紹介状の有無: 対象となる大病院などでは、紹介状がないと追加の特別料金(いわゆる選定療養費)がかかる場合がある。
- 待ち時間: 島中から患者が集まるため、予約なしだと数時間待つことも覚悟する。
- 役割分担: 風邪などの軽症は診療所へ行き、病院は「重症時の砦」として温存する。
小さな島は「診療所」が基本
多くの離島では、「診療所(クリニック)」が医療の中心です。 医師が少人数で対応しており、専門治療よりも初期診療(プライマリ・ケア)を担っています。
【POINT】離島の診療所のリアル
- 医師の役割: 総合診療医として、内科から外科、小児科まで幅広く診る。
- 設備の限界: レントゲン等はあっても、高度な精密検査はできないことが多い。
- 診療時間: 平日の日中が基本。夜間休日はオンコール(呼び出し)で対応する。
【MEMO】医師の支援体制
- 定期交代: 自治体立の診療所では、数年ごとに医師が入れ替わることがある。
- バックアップ: 地域によっては、「へき地医療支援機構」や拠点病院から、代診医・応援医師が派遣される体制がある。
- 巡回診療: 眼科や整形外科などの専門医が、月に数回だけ島へ来るケースもある。



診療所の先生は、島の「家庭医」みたいな存在だにゃ。迷ったらまず相談が基本だにゃ
へき地医療の現実|専門医や検査はどうする?


離島医療は、いわゆる「へき地医療」の一つであり、どうしても制限があります。 日常的な病気は島内で対応できても、専門的な治療は「海を渡る」必要があります。



「なんでも島で治せる」わけじゃないのが現実だにゃ。通院も小旅行になるんだにゃ。
専門的な治療は「島外」が前提
眼科、耳鼻科、皮膚科などの専門医がいない島は珍しくありません。 がん治療や透析、複雑な手術などは、本土や大きな島の病院へ通院することになります。
【ALERT】通院にかかる3つの負担
- 頻度の問題: 透析やリハビリなど「週に複数回」の通院が必要な場合、生活設計が大きく制約される(移動・宿泊・仕事の調整が必要)。
- 費用の負担: 治療費に加え、往復の交通費や宿泊費が重くのしかかる。
- 体力の負担: 体調が悪い中での長距離移動は、高齢者や子供には辛い。
【POINT】島外通院を乗り切る工夫
- 宿泊の確保: 繁忙期は宿が満室になることもあるため、病院近くの宿を早めに押さえる。
- オンライン診療: 症状や医療機関によっては、画面越しに診察を受けられる場合がある。
- 公的支援: 自治体の「通院費助成制度」や「宿泊補助」がないか徹底的に調べる。
妊婦検診と出産のリスク
子育て世代にとって最大の懸念が「出産」です。 分娩設備がある島は限られており、多くの場合は「里帰り出産」や「本土待機」が必要です。
【CHECK】離島での妊娠・出産事情
- 妊婦検診: 島内で可能な場合もあるが、回数や検査内容は限られる。
- 島外待機: 出産予定日の1ヶ月〜2週間前には島を出て、病院近くに滞在する。
- 緊急搬送: 早産などの異常時は、ヘリでの緊急搬送になるリスクがある。
【POINT】自治体の助成制度
- 交通費助成: 妊婦検診や出産のための渡航費を補助する自治体が多い。
- 宿泊費助成: 出産待機中の宿泊費の一部を補助してくれる制度もある。
- 確認窓口: 制度の詳細は、役場の「保健福祉課」などで必ず確認する。
出産や通院にかかる費用は、自治体の補助金でカバーできる場合があります。制度の有無は移住前にチェックしておきましょう。



不便さはあるけど、島のみんなで妊婦さんや子供を見守る温かさもあるにゃ。制度をうまく使って、無理のない計画を立てるんだにゃ。
緊急時の対応|「ドクターヘリ」と急患搬送


島で対応できない重症患者が出た場合の命綱が、「ドクターヘリ」などの搬送システムです。 ドラマのような活躍を見せますが、自然環境に左右されるリスクも知っておく必要があります。



空飛ぶ救命室は頼もしいけど、天気には勝てないんだにゃ。その辺のリスクも重要だにゃ。
命をつなぐドクターヘリの役割
ドクターヘリは、医師を乗せて現場へ急行し、治療しながら搬送するシステムです。 脳卒中や心筋梗塞など、一刻を争う事態で大きな力を発揮します。
【POINT】ドクターヘリの強み
- 圧倒的な速さ: 船で数時間かかる距離を、数十分で移動できる。
- 早期治療: 医師が搭乗しているため、搬送中から医療行為を開始できる。
- スムーズな連携: 本土の救命救急センターへ直行し、即座に手術へ移行できる。
【MEMO】運航の限界とリスク
- 夜間・悪天候: 原則として夜間や視界不良時は運航しない(※地域により運用が異なる)。
- 着陸調整: 安全な着陸場所の確保や要請手順により、到着時間が変動する場合がある。
- 遅延リスク: 荒天時は搬送手段が大幅に制限され、到着が遅れる可能性が高まる。
自衛隊ヘリや船での搬送
ドクターヘリが飛べない夜間や長距離搬送では、「自衛隊ヘリ(災害派遣)」や海上保安庁の巡視船が活躍します。
【POINT】ドクターヘリ以外の搬送手段
- 自衛隊ヘリ: 災害派遣の枠組みで要請されるため、常時使える手段ではない「最後の砦」。
- 海上保安庁: 巡視船などは波に強いため、ヘリが飛べない荒天時に活躍する。
- 救急艇: 行政が保有する小型船。近隣の島や対岸へ短時間で搬送する際に使う。
【CHECK】費用負担について
- ドクターヘリ: 運航費自体は原則として患者負担なし(※医療行為は自己負担)。
- 海上保安庁: 救助・捜索の経費は基本的に遭難者等へ請求しない。
- 自衛隊: 災害派遣等の枠組みで要請に基づき活動するため、費用の扱いは自治体・関係機関に確認する。
- 帰宅費: 治療後の帰りの交通費は、全額自己負担となる。



自衛隊や海保の人たちが、命がけで島民を守ってくれてるんだにゃ。感謝の気持ちを忘れちゃいけないにゃ。
移住者が確認すべき医療チェックリスト


離島の医療事情を理解した上で、契約前に確認すべきポイントを整理します。 「知らなかった」では済まされない命に関わることなので、必ずチェックしましょう。



備えあれば憂いなしだにゃ!自分や家族の健康状態に合わせて、しっかり準備するんだにゃ。
持病がある場合の事前準備
持病(高血圧、糖尿病、喘息など)がある場合は、継続的な治療ができるかが最優先事項です。
【CHECK】持病がある人の確認事項
- 薬の備蓄: 悪天候による欠航を見越し、数日分の予備を常に持っておく。
- リードタイム: 薬を取り寄せる場合、注文から到着まで何日かかるか確認する。
- 専門医連携: 悪化した時に相談できる専門医との連携体制を確認する。
【POINT】移住前に済ませるべき手続き
- 紹介状の取得: 現在の主治医に事情を話し、「診療情報提供書」を書いてもらう。
- データの持参: お薬手帳に加え、直近の血液検査や画像データもあるとスムーズ。
- 予備薬の処方: 引っ越し前後の混乱に備え、薬を少し多めに処方してもらう。
子育て世帯・シニア世帯の注意点
小さな子供や高齢者がいる世帯は、日常的な医療ニーズが高いため、より入念な確認が必要です。
【POINT】世代別の確認ポイント
- 子供の急病: 小児救急相談(#8000)や、地域ごとの相談窓口(#7119等)を確認しておく(番号・運用時間は自治体差あり)。
- 高齢者のケア: 医療だけでなく、訪問看護や介護事業所などの「介護資源」が足りているか。
- 歯科事情: 歯医者があるか(※歯痛での船移動は非常に辛い)。
【MEMO】市販薬の備蓄
- 薬局の有無: 島内にドラッグストアがない場合も多い。
- ストック: 風邪薬、解熱鎮痛剤、胃腸薬などは多めに常備する。
- 通販の活用: 配送に時間がかかるため、Amazonなどで早めに注文する。
離島では日用品や薬の入手が遅れがちです。通販の配送事情についても知っておくと安心です。



自分の健康は自分で守る「セルフメディケーション」の意識が、島暮らしでは特に大切だにゃ!
まとめ|不便さと向き合い、命を守る備えを


今回は、離島の医療体制について、病院と診療所の違いや緊急搬送の仕組みを解説しました。
【POINT】記事のまとめ
- 施設: 大きな島以外は「診療所」が基本。専門医療は島外へ。
- 緊急: ドクターヘリは強力だが、夜間・悪天候リスクがある。
- 準備: 持病があるなら、紹介状(診療情報提供書)・お薬手帳・薬の確保ルート(備蓄とリードタイム)を整える。
- 費用: 通院交通費はかかるが、自治体の助成制度を活用する。
離島の医療は、便利な都会に比べれば「不便」です。 しかし、限られた資源の中で、医師や島民が互いに助け合い、命を守ろうとする温かいコミュニティがあります。
「何かあったらどうしよう」と不安がるだけでなく、正しく備えること。 それが、離島で健やかに暮らすための第一歩です。



日頃の健康管理が一番の特効薬だにゃ!島の美味しい空気を吸って、元気に暮らすのが一番だにゃ〜。










