はじめに|「島暮らしはお金がかからない」は本当?

「田舎に行けば生活費が安くなる」 そう期待して移住を考える人は多いですが、離島は少し事情が違います。 海を渡る物流があるぶん、食料品や日用品、ガソリンなどは割高になりやすいからです。
結論として、離島の生活費は工夫次第で抑えられます。ただ、何も考えずに暮らすと本土より高くつくこともあります。
この記事では、物価が上がりやすい項目と家賃の目安に加えて、見落としがちな税金や保険料まで、移住前に知っておきたいお金のリアルを整理します。
【POINT】離島の物価・生活費の現実
- 物価: 輸送費がかかる食品・日用品・ガソリンは高い傾向。価格は島によって差がある。
- 家賃: 島やエリアで差が大きい。安い島もある一方、観光地や物件不足で高騰する例も。
- 出費: 車の維持費(塩害)、島外への交通費、地域や親戚との交際費がかさむ。

やあ、ココロ船長だにゃ!「自給自足で0円生活」は夢見すぎると危ないにゃ。締める所と使う所を決めて、島のお金の感覚を身につけるにゃ!
離島の物価は本当に高い?「高いもの」と「安いもの」


「離島=物価が高い」と思われがちですが、すべての商品が高いわけではありません。 傾向として「本土から運んでくるものは高く、島にあるものは安い」場合が多いですが、地物でも需要次第で価格は変わります。



スーパーのレシートを見てため息をつく前に、何が高くて何が安いのか、その理由を知っておくんだにゃ!
食品・日用品は「輸送費」で割高になる
離島のスーパーに並ぶ商品は、フェリーや飛行機で海を渡ってくるため、どうしても輸送コストが上乗せされます。 本土のスーパーよりも割高になる傾向があり、島によっては大きな差が出ることもあります。
【CHECK】値段が高くなりやすい商品
- 牛乳・乳製品: 冷蔵輸送が必要で割高になりやすい。価格は島や店で差があるので現地で確認。
- 本土産の野菜: キャベツ、白菜、もやしなど、島内で生産されていない野菜は輸送費が直撃する。
- かさばる日用品: トイレットペーパーや洗剤など、体積が大きいものは輸送効率が悪く割高になる。
【MEMO】価格が決まる仕組み
- 船賃の上乗せ: トラックごとフェリーに乗せるため、その運賃が商品価格に転嫁される。
- 競合不在: スーパーや商店の数が少なく、価格競争が起きにくい(言い値で買うしかない)。
- ロス対策: 台風等の欠航で廃棄ロスが出るリスクを見越して、あらかじめ高めに設定されることもある。
ガソリン・光熱費は本土より高くなる傾向
生活に欠かせないエネルギー関連の費用も、離島では大きな負担となります。 特に車社会の島暮らしにおいて、ガソリン価格の高さは家計に直結します。
【ALERT】エネルギーコストの現実
- ガソリン代: 輸送コスト等で高めになりやすく、島や時期で差が出る。移住前に現地の相場を確認。
- プロパンガス: 都市ガスがないため割高なプロパンガス(LPガス)利用となり、ガス代が高くなりがち。
- 電気代: 本土と同じ料金体系の地域も多いが、燃料費調整などで月々は上下する。夏冬のピークを想定しておく。
【CHECK】節約のための対策
- 軽自動車を選ぶ: 燃費が良く、税金も安い軽自動車は島暮らしの必須アイテム。
- お風呂の工夫: 夏はシャワー中心、追い焚きは控えめに。湯量を減らすだけでも効く。
- 補助金確認: 燃料油価格対策など、国や自治体の補助が入っている時期もあるのでチェックする。
逆に「安いもの」や「タダでもらえるもの」
ここまで「高い」話ばかりしましたが、島暮らしにはお金がかからない素晴らしい側面もあります。 「あるもので暮らす」スキルが身につけば、食費や娯楽費は大幅に下げられます。
【POINT】島ならではの「安い・タダ」
- 魚介類: 自分で釣ればタダ。近所の漁師さんから「傷物だけど」と高級魚をもらえることもある。
- 旬の野菜: 家庭菜園をしている家が多く、「作りすぎたから」と玄関先に野菜が置かれていることも。
- 娯楽費: 海、山、星空が最高の遊び場。ショッピングモールがないので、無駄な衝動買いが減る。
【CHECK】お裾分け文化の流儀
- ギブアンドテイク: もらいっぱなしにせず、小さなお返しで関係を回す(お菓子や島外土産など)。
- 人間関係資産: お金ではなく「人との繋がり」が、食料や生活のセーフティネットになる。
- 感謝の言葉: 「ありがとう」の一言が、次の野菜に繋がる。コミュニケーションこそ最大の節約術。



お裾分けをもらったら、缶コーヒー1本でもいいからお返しをするのがマナーだにゃ。このサイクルを回すのがプロの島民だにゃ!
離島の家賃相場は?格安物件の罠とリアル


固定費の中で最も大きなウェイトを占める「家賃」。 「田舎だから数千円で住めるのでは?」という期待は、半分正解で半分間違いです。



「家賃1万円!」なんて物件には、それなりの理由があるんだにゃ。トイレやお風呂の状態は要チェックだにゃ。
家賃相場は本土の田舎と同じくらい?
アパートやマンションなどの賃貸物件に関しては、本土の地方都市とそれほど変わらないか、供給不足により少し高い場合さえあります。
【CHECK】離島の家賃相場(目安)
- 単身用(1K・1DK): 3.5万〜5.5万円が目安。観光地や人気エリアは需給で上がりやすい。
- ファミリー用(2LDK〜): 5万〜8万円が目安。物件が少なく、空きが出たら早い者勝ちになりやすい。
- 公営住宅: 1万〜3万円の例もあるが、所得条件や抽選がある。募集時期を自治体で確認。
【POINT】物件探しの難しさ
- ネットに載らない: 大手サイトには情報が出ず、地元の不動産屋や口コミだけで決まることが多い。
- 空き家バンク: 自治体が運営する「空き家バンク」が頼みの綱だが、登録件数は少なく競争率は高い。
- 足で探す: 実際に島に行き、役場や先輩移住者に聞いて回るのが、良い物件に出会う近道。
「家賃タダ」や「格安」には裏がある
稀に「タダでもいいから住んでほしい」という空き家に出会うことがありますが、飛びつく前に冷静な確認が必要です。 修繕費や維持管理の手間を考えると、結果的に高くつくケースがあります。
【ALERT】格安物件の注意点
- 修繕: 雨漏りやシロアリ等で改修費がかかる場合がある。
- 水回り: 汲み取り式や設備不良、配管劣化などのトラブルに注意。
- 残置物: 前の住人の荷物(家具、布団、ゴミ)がそのまま残っており、その処分費用を負担させられる。
【MEMO】地域との関わり
- 草刈り: 安く借りる代わりに敷地管理を任されることがある(夏は負担大)。
- 行事参加: 集落の行事や清掃活動への参加が必須条件となっている場合が多い。
- 信頼関係: 大家さんは「家を守ってくれる人」を探している。人間性が家賃以上の価値を持つ。



DIYが得意なら格安古民家は宝の山だけど、素人が手を出すと「修繕沼」にハマるから気をつけるにゃ!
離島暮らしの生活費シミュレーション


では、実際に離島で暮らすと月にいくらかかるのでしょうか。 「単身者」と「4人家族」のモデルケースで、生活費をシミュレーションしてみます。



ざっくり計算してみるにゃ。車の維持費と、急な飲み会の出費を甘く見ちゃいけないにゃ!
単身者(一人暮らし)の生活費モデル
一人暮らしの場合、自炊の頻度と車の有無で生活費が大きく変わります。 ここでは、車を所有し、適度に自炊をするケースを想定します。
【CHECK】単身者の生活費内訳(例)
- 家賃: 4.5万円(1DKアパート)
- 食費: 3.5万円(自炊中心+たまに外食・飲み会)
- 光熱水費: 1.2万円(プロパンガスが高いので少し高め)
- 車両費: 1.5万円(ガソリン代+保険・税金の積立)
- その他: 2.5万円(通信費、日用品、交際費など)
- 合計:約 13.2万円
【POINT】節約のポイント
- まかない付き: リゾートバイトや寮付きの求人を選べば、家賃と食費を大幅に浮かせられる。
- 飲み会: 島のスナックや居酒屋は楽しいが、通い詰めると出費がかさむ。「家飲み」をメインにする。
- ネット通販: Amazonプライムなどを活用し、日用品の送料を節約する。
ファミリー(4人家族)の生活費モデル
家族での移住は、教育費や車の台数(夫婦で2台必要)によって支出が増えます。 一方で、医療費助成や給食費無償化など、自治体の支援が手厚いケースもあります。
【CHECK】4人家族の生活費内訳(例)
- 家賃: 6.0万円(一軒家借家)
- 食費: 6.5万円(お裾分け野菜を活用しつつ、子供の成長に合わせて増加)
- 光熱水費: 2.5万円(お風呂・洗濯の回数が増えるため高くなる)
- 車両費: 3.5万円(軽自動車2台分の維持費とガソリン代)
- その他: 5.5万円(通信費、教育費、雑費など)
- 合計:約 24.0万円
【ALERT】見落としがちな出費
- 島外への通院: 子供の矯正歯科や専門的な治療が必要な場合、フェリー代と宿泊費がかかる。
- 冠婚葬祭: 親戚の結婚式や葬儀で本土へ帰る際、家族4人分の旅費(数十万円)が一気に飛ぶ。
- 進学費用: 高校や大学進学で島を出る場合、仕送り費用が発生する(島外留学)。



子育て世帯には優しい島も多いにゃ。自治体の支援策は移住前に必ずチェックだにゃ!
意外な落とし穴?島暮らし特有の出費


家賃や食費といった基本的な項目以外に、離島ならではの「見えないコスト」があります。 ここを計算に入れておかないと、生活が苦しくなる原因になります。



潮風は車を錆びさせ、付き合いはお酒を消費させる…。これが島のリアルの出費だにゃ!
車は「生活の足」として必須(1人1台の島も)
公共交通が発達していない島では、車がないと生活が回りません。 世帯で複数台持つケースも珍しくなく、維持費が家計を圧迫します。
【ALERT】塩害という天敵
- サビ(錆): 潮風の影響で、車の下回りやボディが驚くほどの速さで錆びる。
- 寿命が短い: マフラーに穴が開いたり、エアコンが故障したりと、車の寿命が本土より短くなりやすい。
- 洗車代: こまめに洗車しないとすぐ錆びるため、水道代や洗車場の利用料がかかる。
【CHECK】車選びの知恵
- 中古の軽自動車: 「島車」として割り切り、乗り潰すつもりで安い中古の軽自動車を選ぶ人が多い。
- 車検・整備: 工場が少なく、部品取り寄せで時間がかかることも。費用も割高になりやすい。
- 燃費重視: ガソリン代が高いので、ハイブリッドや燃費の良い軽自動車が有利。
【MEMO】洗車事情
- 台風の後は車が塩まみれになるため、ガソリンスタンドの洗車機に行列ができるのが島の風物詩です。
帰省・移動費と「付き合い」の出費
島から出るための交通費は、物理的な距離以上に高額になります。 また、濃密な人間関係を維持するための「交際費」も馬鹿になりません。
【CHECK】島外への移動コスト
- 帰省費用: お盆や正月に家族で帰省すると、飛行機やフェリー代でボーナスが消える。
- 急な用事: 航路によってはLCCが使えず、直前手配は正規運賃で高額になりやすい。
- 島民割引: 対象地域では住民向け割引がある場合も。転入後に申請が必要なことが多い。
【POINT】独特な交際費
- 飲み会: 地域によっては定期的な飲み会や積立文化(例:沖縄の模合など)があり、参加費が必要。
- 冠婚葬祭: 人間関係が密接なため、知人の冠婚葬祭や新築祝いなどを包む機会が多い。
- お礼の品: お裾分けをもらったり、世話になったりした際のお礼の品代。



交際費は「必要経費」と割り切るのが島暮らしのコツだにゃ。ここをケチると、いざという時に助けてもらえなくなるんだにゃ…。
まとめ|生活費の安さより「心の豊かさ」で選ぶ


今回は、離島の物価と生活費について、高くなりやすい理由と節約のコツを解説しました。
【POINT】記事の要点
- 物価: 食品やガソリンは本土より高い傾向。お裾分けや自給自足でカバーする工夫が必要。
- 家賃: 額面は安い物件もあるが、探しにくさや修繕リスク、地域活動の義務がセットになることも。
- 生活費: 車の維持費(塩害)、島外への交通費、交際費など、見えにくい出費が多い。
単純な金額比較だけで見れば、離島暮らしは決して「激安」ではありません。 むしろ、不便さを解消するためにお金がかかる場面も多々あります。
しかし、満天の星空の下で、近所の人からもらった魚を肴に酒を飲む時間は、お金では買えない贅沢です。
「生活費を下げたい」という理由だけで移住すると、ギャップに苦しむかもしれません。 「多少高くついても、この島で暮らしたい」という想いがあるかどうかが、移住成功のカギとなります。



お金の計算は大事だけど、それ以上に「どう暮らしたいか」が大事だにゃ。工夫して楽しむ心があれば、島暮らしは毎日が宝物になるにゃ!










