はじめに|離島でも「電気」は普通に使えるの?

離島移住で一番の心配事といえば「生活インフラ」。 特に電気は、ちゃんと届くのか、料金は高くないのか、不安は尽きません。
結論から言うと、離島でも電気は本土と同じように問題なく使えます。 ただし、島ならではの「供給の仕組み」や「停電リスク」があるのも事実です。
【POINT】離島電力の基本
- 利便性: 本土と同じコンセント、同じ家電が問題なく使える。
- 料金: 国の制度により、基本的には本土と同水準に抑えられている。
- リスク: 台風などの災害時には、本土よりも復旧に時間がかかる傾向がある。
この記事では、離島の電力事情のリアルと、移住者が絶対に知っておくべき停電対策について解説します。

やあ、ココロ船長だにゃ!島暮らしでスマホの充電が切れたら大変だにゃ。電気のことはしっかり知っておくにゃ!
離島の電気はどうやって届く?2つの供給ルート


海に囲まれた離島への電気は、どのように届けられているのでしょうか。 その供給ルートは、大きく「本土からの送電」と「島内での発電」の2つに分かれます。



海の下を通ってくる電気と、島で作る電気があるんだにゃ。どっちの島か調べておくといいにゃ。
海底ケーブルでの送電(本土に近い島)
本土に近い島(瀬戸内海など)は「海底ケーブル」で繋がっており、品質は本土とほぼ同じです。 一方、遠く離れた島(沖縄や伊豆諸島など)は「島内発電」を行い、独自に電力をまかなっています。
【POINT】海底ケーブルの特徴
- 安定性: 本土の大規模発電所と繋がっているため、電力供給が安定している。
- 品質: 電圧や周波数の変動が少なく、精密機器への影響も少ない。
- 管理: ケーブル周辺は「投錨禁止区域」に指定され、船の錨による切断事故を防いでいる。
【ALERT】断線のリスク
- 切断事故: 稀に、船の錨(いかり)や漁具が引っかかってケーブルが切れることがある。
- 復旧難度: 特殊な作業船が必要なため、一度切れると復旧に数週間かかる場合もある。
- 予備電源: 万が一の切断に備え、島内に非常用発電機や移動電源車を配備している島もある。
島内での発電(内燃力発電所)
本土から遠く離れた島では、島内に独自の発電所を持つ「独立系統」が採用されています。 重油を燃料とするディーゼル発電が主流で、宮古島や伊豆諸島などがこれに当たります。
【CHECK】島内発電の仕組み
- 発電所: 島内にある火力発電所などで電気を作る。
- 燃料: 重油などの燃料をタンカーで島まで運んでくる。
- 供給: 島内の電柱や送電網を通じて、各家庭へ電気を届ける。
【MEMO】燃料とコストの事情
- 輸送リスク: 悪天候でタンカーが接岸できないと、燃料不足になる恐れがある。
- 発電コスト: 燃料輸送費がかさむため、本来の発電コストは本土より大幅に高い。
- 騒音・排気: 小さな島では、発電所の近くに住むと稼働音や排気が気になる場合がある。
島独自のインフラ事情を知ると、生活の基盤がいかに大切かが見えてきます。



島にある発電所の煙突を見ると、「ああ、ここで電気を作ってるんだにゃ」って感謝の気持ちが湧いてくるにゃ。
離島の電気料金は高い?移住前に知っておくべき真実


「離島は物価が高い」というイメージから、電気代も高額になるのではないかと心配される方が多くいます。 発電コストがかかる離島での電気代は、実際どうなっているのでしょうか。



電気代が高いとエアコンを使うのをためらっちゃうにゃ…。本当のところはどうなんだにゃ?
「ユニバーサルサービス」で料金は本土と同じ
結論から言うと、大手電力会社と契約する場合、離島の電気料金は本土と同等の水準です。 これは法律(ユニバーサルサービス)により、住む場所による極端な料金格差が生まれないよう守られているためです。
【POINT】料金の仕組み
- 同額設定: 基本料金や従量料金単価は、管轄する本土エリアと同じ水準。
- コスト調整: 離島の高コスト分は、「離島ユニバーサルサービス調整制度」により全国の利用者で広く負担されている。
- 安心感: 請求書を見て「離島だから高い」と感じることは基本的にはない。
【MEMO】見えないコストの負担
- 託送料金: 発電コストの差額は、送配電網の利用料(託送料金)を通じて全国的に回収・分配される。
- 内部補助: 電力会社内部でも、都市部の利益で離島の赤字を補填する調整が行われている。
- 再エネ賦課金: 「再エネ賦課金」とは別の枠組みで、離島のインフラ維持コストは支えられている。
燃料費調整額には注意が必要
基本料金などは同じですが、細かい部分で注意すべき点があります。 特に「燃料費調整額」は、発電に使われる燃料(重油など)の価格変動がダイレクトに影響する場合があります。
【ALERT】契約時の注意点
- 燃料調整費: 燃料高騰時は、調整額の上振れにより請求額が増えることがある(激変緩和措置あり)。
- 新電力: 一部の新電力会社(PPS)は「離島供給対象外」としている場合がある。
- エリア確認: 移住先の島が、希望する電力会社のサービスエリアに含まれているか必ず確認する。
【CHECK】電気代以外のコスト
- ガス代: ほとんどの離島はプロパンガス(LPガス)のため、都市ガスより料金が高くなる傾向がある。
- ガソリン代: 輸送コストが上乗せされるため、本土よりリッターあたり数十円高いことも珍しくない。
- 物価全体: 輸送費がかかる分、食料品や日用品も割高になることが多い。
離島生活では電気代以外にも、独自のコストがかかることを理解して資金計画を立てましょう。



みんなで支え合って、島の電気が守られているんだにゃ。ありがたい話だにゃ〜。
離島の停電リスクと復旧の実情


離島暮らしにおいて、最も覚悟しておかなければならないのが「台風時の停電」です。 本土でも災害時の停電は起こりますが、離島には離島特有の「復旧の難しさ」があります。



台風が来ると、真っ暗になることがあるにゃ。懐中電灯の準備は必須だにゃ!
台風時の停電は「ある」と思って備える
沖縄や九州の離島など、台風の通り道となる地域では、暴風によって電柱が倒れたり、飛来物で電線が切れたりすることが頻繁にあります。 そのため、台風シーズンには「停電は起こるもの」という前提で生活する必要があります。
【ALERT】離島の停電リスク
- 頻度: 台風の直撃回数が多い地域では、毎年のように停電が発生することも珍しくない。
- 範囲: 送電網が限られているため、島全体が停電する「ブラックアウト」のリスクがある。
- 塩害: 台風による海水の吹き上げ(塩分)で、電気設備がショートして故障することもある。
【MEMO】被害の要因
- 強風: 海上には風を遮るものがないため、本土よりも猛烈な風が吹き荒れる。
- 飛来物: 飛ばされたトタン屋根や看板が電線に直撃し、断線を引き起こす。
- 倒木: 山間部を通る送電線が、倒れた木によって切断されるケースも多い。
復旧までの期間が長引く理由
離島での停電が厄介なのは、復旧までに時間がかかるケースがあることです。 本土であれば隣県から応援部隊がすぐに駆けつけられますが、離島ではそうはいきません。
【POINT】復旧の壁
- アクセス: 海が荒れていると、応援部隊や機材を乗せた船が島に接岸できない。
- 人員不足: 島内のスタッフだけで対応しなければならず、被害が甚大な場合は手が回らない。
- 長期化: 船が動くまで待つ必要があり、数日間〜1週間以上停電が続くこともある。
【CHECK】通信への影響
- 基地局停止: 停電が長引くと携帯基地局の非常用バッテリーが切れ、スマホが圏外になる。
- ネット不通: 光回線も電気がないとルーターが動かず、断線していれば復旧まで使えない。
- 情報遮断: テレビもネットも見られない状況になるため、ラジオなどの確保が重要になる。
電気が止まると、同時にWi-Fiなどの通信インフラも影響を受けることが多いため、二重の備えが必要です。



電気が直るのを待つのも島暮らしの一部だにゃ。焦らず騒がず、安全第一で過ごすにゃ。
離島ならではの電力事情と「再エネ」の可能性


近年、離島の電力事情は変わりつつあります。 環境への配慮や、燃料輸送コストの削減を目指し、新しい技術導入が進んでいます。



島の自然エネルギーを使って電気を作るなんて、未来的でかっこいいにゃ!
自然エネルギーの活用
離島は「風が強い」「日差しが強い」といった自然エネルギーの宝庫でもあります。 そのため、ディーゼル発電への依存度を減らすため、太陽光発電や風力発電を積極的に導入する動きが活発です。
【POINT】再エネ導入のメリット
- コスト削減: 本土から運ぶ高価な燃料(重油)の使用量を減らせる。
- 環境保護: CO2排出量を削減し、豊かな島の自然を守る「ゼロカーボンシティ」への貢献。
- 自給率向上: 島にある資源でエネルギーを作るため、外部要因の影響を受けにくい。
【MEMO】離島の再エネ資源
- 太陽光: 遮るものが少なく日射量が多いため、ソーラーパネルの発電効率が良い。
- 風力: 四方を海に囲まれており、年間を通じて安定した強い風が得られる。
- 地熱: 八丈島(東京)のかつての事例や、新たな地熱開発の検討が進む島もある。
エネルギーの地産地消「マイクログリッド」
さらに進んだ取り組みとして、小規模な電力ネットワーク「マイクログリッド」の実証実験が多くの島で行われています。 太陽光発電と蓄電池を組み合わせ、天気の良い日は再生可能エネルギーだけで島の電力をまかなう試みです。
【POINT】災害に強い島へ
- 自立運転: 災害で海底ケーブルが切れても、島内の発電設備だけで電気を供給できる。
- レジリエンス: 避難所や病院など、重要施設への電力供給を優先的に維持できる。
- 地産地消: 「島で作った電気を島で使う」というサイクルが、コミュニティの結束を強める。
【MEMO】先進的な取り組み事例
- 宮古島(沖縄): 「エコアイランド宮古島」を掲げ、島全体でエネルギーマネジメントを推進。
- 壱岐島(長崎): 再エネ水素の活用やEV(電気自動車)導入による脱炭素化モデルを構築。
- 黒島(沖縄): 再エネと蓄電池により、ディーゼル発電への依存度低減を目指す実証実験が行われた。



自分たちの島の電気は自分たちで作る。これが未来のスタンダードになるかもしれないにゃ。
移住者が備えておくべき「電気」の対策


最後に、これから離島へ移住する方が準備しておくべき、具体的な停電対策について解説します。 「備えあれば憂いなし」です。



いざという時に困らないよう、今のうちに準備リストをチェックするにゃ!
ポータブル電源と蓄電池の準備
台風の多い離島で暮らすなら、大容量の「ポータブル電源」は一家に一台の必需品です。 予算に余裕があれば、自宅に太陽光パネルと家庭用蓄電池を設置するのも非常に有効です。
【CHECK】停電時の必需品
- ポータブル電源: 扇風機やスマホ充電、電気毛布などを動かせる大容量タイプがおすすめ。
- 乾電池式ライト: 部屋全体を照らすランタン型と、移動用の懐中電灯型を用意する。
- 保冷剤: 冷蔵庫が止まった時に備え、普段から冷凍庫に保冷剤を常備しておく。
【MEMO】あると便利なプラスα
- ソーラー充電器: ポータブル電源自体を充電できるよう、折りたたみ式のパネルがあると安心。
- クーラーボックス: 冷蔵庫の中身を移して保冷剤を入れれば、数日間は食材を守れる。
- 乾電池のストック: 島内の店ではすぐに売り切れるため、多めに備蓄しておく。
停電対策だけでなく、日頃の生活に必要なアイテムもしっかり確認しておきましょう。
現金とアナログな情報の確保
停電すると、電子決済やATMが使えなくなるため、現金の用意が必要です。 また、Wi-Fiルーターも使えなくなるため、情報収集手段の確保も忘れてはいけません。
【CHECK】アナログ対策リスト
- 現金: 小銭と千円札を多めに用意しておく(停電時はお釣りが出せない店もあるため)。
- ラジオ: 電池式のラジオで、台風情報や復旧状況を確認する。
- カセットコンロ: オール電化の家でも、お湯を沸かせる手段を確保しておく。
【MEMO】通販と配送のコツ
- Amazon活用: 重たいポータブル電源や防災グッズは、Amazonなどの通販で揃えるのが便利。
- 配送日数: 船便になるため、注文から到着まで1週間程度かかる場合がある。
- 送料確認: 大型商品は「離島中継手数料」がかかることもあるため、購入前に確認する。
電気への依存度が高い現代だからこそ、アナログな備えが離島生活の安心感を支えてくれます。



ラジオから流れる情報が、暗闇の中で心の支えになることがあるにゃ。アナログも馬鹿にできないにゃ。
まとめ|仕組みを知って備えれば、離島の電気は怖くない


今回は、離島の電力事情について解説しました。 正しい知識と備えがあれば、島でも安心して電気のある暮らしが送れます。
【POINT】記事のまとめ
- 供給: 本土からの「海底ケーブル」または島内での「独自発電」で供給される。
- 料金: 制度により守られており、基本的には本土と同等の料金で使える。
- リスク: 台風時は停電しやすく、船が欠航すると復旧が長引くことがある。
- 対策: ポータブル電源や現金などの「自衛手段」が、快適な島暮らしのカギとなる。
「離島だから不便」と決めつけるのではなく、その仕組みやリスクを正しく理解し、適切な準備をしておくこと。
それさえできれば、離島でも電気に困ることなく、豊かな自然の中での暮らしを存分に楽しむことができます。



電気のありがたみを感じながら、自然と共生する。それが島暮らしの醍醐味だにゃ。しっかり準備して、明るい島ライフを送るにゃ!










