はじめに|憧れの古民家購入、その前に知るべき「見えないリスク」

「憧れの離島で古民家を見つけた!」そんな時ほど、契約前の確認が重要です。
離島の物件は、境界や権利関係があいまいなケースも少なくなく、知らずに進めると名義変更や融資でつまずき、想定外の手間や費用が発生することがあります。
事前に見るべきポイントを押さえ、危険な物件を回避してトラブルを未然に防ぎましょう。
この記事では、契約前〜引渡し後の確認ポイントを解説します。
【POINT】契約トラブルを防ぐ要点
- リスク:離島物件は「境界不明」「未登記」「農地」のトラブルが多い
- 法律:相続登記の義務化により、権利関係の整理が必須になった
- 対策:契約前に「登記簿」を確認し、専門家を入れてリスクを潰す

安い物件には必ず「ワケ」があるにゃ。契約前のチェックで「見えない地雷」を見つけて、大事な資産と未来を守るんだにゃ!
離島物件の購入注意点とは?都会とは違う3つの「常識」


離島の不動産は、書類や境界が整っていないまま取引されることがあります。 だからこそ、買主側のチェックが重要であり、自衛のための知識が欠かせません。



「郷に入っては郷に従え」と言うけど、不動産取引でそれをやると痛い目を見るにゃ。島特有の事情を知って自衛するにゃ。
1. 「境界」が曖昧なまま放置されている
都会の分譲地であれば、隣の家との境界には「境界標(杭)」が打たれており、どこからどこまでが自分の土地かが明確です。 しかし、離島の古民家では、この境界標が存在せず、先祖代々の「口約束」だけで決まっていることもあります。
【ALERT】境界不明のリスク
- トラブル:「そこの塀はウチの敷地だ」と隣人からクレームが入る
- 売却困難:将来売ろうとしても、境界未確定の土地は敬遠される
- 費用発生:購入後に測量することになれば、数十万円の出費になる
【CHECK】現地での確認ポイント
- 境界標:土地の四隅に、コンクリート杭や金属プレートがあるか
- 認識:売主と隣人の間で、境界の認識にズレがないか
- 塀・垣根:ブロック塀や石垣が、実際の境界線と一致しているか
【MEMO】筆界特定制度とは
- 定義:筆界(ひっかい)は登記上の公的な境界を指し、当事者同士の「認識の境界」とはズレることがあります。
- 制度:境界トラブル時に、法務局が公的な境界を特定してくれる制度です。
- 注意:標準処理期間は6か月ですが、内容により長期化することもあります。
- 出典:筆界特定制度(法務省)
2. 登記簿の情報が信用できない(所有者不明・未登記)
次に多いのが、法務局にある「登記簿」の情報と、実際の状況が食い違っているケースです。 登記簿上の所有者が明治・大正生まれの曾祖父のままだったり、離れや倉庫が登記されていなかったりすることがあります。
【ALERT】未登記・所有者不明の弊害
- 名義リスク:相続人全員の合意が揃わないと、所有権移転や決済が進まないことがある
- ローン注意:未登記部分があると、担保評価や融資条件で不利になりやすい
- 再建築注意:未登記のままだと、売却・融資・保険・登記手続きで支障が出ることがある
【CHECK】登記簿のチェック項目
- 甲区(所有権):現在の売主の名前になっているか
- 建物表示:母屋だけでなく、倉庫や離れも登記されているか
- 相続:所有者が亡くなっている場合、相続登記が完了しているか
3. 法改正でリスクが可視化された(相続登記義務化)
これまでは「田舎だから」で済まされていたこれらの問題ですが、2024年4月から「相続登記の義務化」がスタートしたことで、状況は一変しました。 国も「所有者不明土地」の問題解決に本腰を入れており、曖昧な権利関係のまま土地を放置することが許されなくなっています。
【POINT】法改正の影響
- 義務化:相続等で取得したことを知った日などから3年以内に、相続登記の申請が必要
- 罰則:正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料対象になる
- 精算:購入者は、過去の曖昧な権利関係を整理する必要に迫られる
【CHECK】購入者がやるべきこと
- 確認:売主が正しく相続登記を済ませているか確認する
- 予算:将来の登記費用や、専門家への依頼費を見込んでおく
- 対策:登記の整理状況を確認し、間に合わない場合は契約条件(特約)に反映する。



「島だから細かいことはいい」は通用しない時代になったにゃ。相続登記がされていない土地は、見えない借金を背負うようなものだにゃ!
契約前に見抜く!絶対に避けるべき「3大・権利の地雷」


具体的な契約手続きに入る前に、物件情報の段階で「この物件は危険かもしれない」と判断するためのポイントを解説します。 以下の3つのキーワードが出てきたら、要注意アラートを鳴らしてください。



ここからはプロでも警戒する「3つの危険信号」だにゃ。もし物件資料にこの言葉があったら、一度立ち止まって深呼吸するにゃ。
① 境界不明と「筆界特定」のリスク
先ほど触れた通り、境界標がない土地はリスクが高く、将来的な売却や建て替えに支障が出る可能性があります。 もし売主が「境界はだいたいで大丈夫」と言っても、鵜呑みにせず、専門家を入れて確定させるのが安全です。
【CHECK】解決のための手段
- 測量:土地家屋調査士に依頼し、実測図を作成してもらう
- 筆界確認書:隣地所有者と境界を確認し、書面を取り交わす
- 筆界特定:法務局の制度を利用し、公的な境界を特定する
【ALERT】費用の負担区分
- 目安:測量の実施者・期限・費用負担を「契約条項で」明確にする
- 交渉:現状有姿売買などでは、買主負担になる条件もあり得るため、契約前に明確にする
- 確認:契約前に「誰の費用で測量するか」を明確にする
- ※現状有姿(現状のまま引渡し)だと、売主の対応範囲が狭くなることがあります。
② 手続きで詰まる「未登記物件」の罠
離島の古民家では、離れ・倉庫・車庫などが未登記のまま残っていることがあります。 建物の登記がなく、登記簿(建物)が作成されていない状態になりがちです。
【CHECK】未登記かどうかの見分け方
- 建物登記:建物の「登記事項証明書」が出るか(登記簿が作成されているか)
- 図面:法務局で「建物図面・各階平面図」があるか(ある=登記されている目安)
- 課税資料:固定資産税の課税明細(または名寄帳)と登記内容にズレがないか
【POINT】購入時の対策
- 表題登記:引渡しまでに、売主の責任で登記してもらう
- 取り壊し:老朽化して使わない建物なら、解体を条件にする
- 融資:住宅ローンを使う場合、未登記解消が融資条件になる
③ 買ってはいけない土地「農地法」の壁
最も注意したいのが、土地の地目が「宅地」ではなく「田」「畑」など「農地」のまま残っているケースです。 農地の売買・権利取得は、原則として農業委員会の許可が必要で、許可を受けない行為は効力を生じません。
【ALERT】農地付き物件のリスク
- 売買不可:農業委員会の許可がないと、所有権移転ができない
- 転用困難:農地を宅地にする「転用」は、許可基準が厳しい
- 現状回復:無断転用とみなされれば、元に戻すよう命令される
- 出典:農地をめぐる事情について(農林水産省)
【CHECK】確認すべき書類
- 登記簿:地目欄が「田」「畑」になっていないか
- 農業委員会:その土地が農地法の手続きをクリアできるか
- 現況:見た目は家が建っていても、書類上は農地のままである



境界、未登記、農地。どれも解決には時間とお金がかかるにゃ。「安いから」と飛びつかずに、リスクを避けるのが賢い買い方だにゃ!
【時系列】契約〜決済〜引渡しまでの完全チェックリスト


それでは、実際に気に入った物件が見つかった時、どのような手順で確認を進めればいいのか。 時系列に沿ったチェックリストを作成しました。



ここからは現地や契約の場で使える「最強のチェックリスト」だにゃ。スマホに保存して、不動産屋さんにも鋭い質問をするにゃ!
STEP1:現地内覧・情報収集(申し込み前)
現地では「境界・接道・インフラの通り道」を先に確認します。 特に私道は、通行や工事の承諾の有無が重要です。
【CHECK】現地での確認リスト
- 境界標:四隅に杭や金属標があるかを目視する
- 越境物:隣の木の枝や屋根、配管が敷地に入り込んでいないか
- 接道:家の前の道は「公道」か「私道」かを確認する
【ALERT】インフラ・権利関係
- 通行承諾:私道の場合、通行や掘削(工事)の許可はあるか
- 配管:上下水道管が、他人の敷地を通って引き込まれていないか
- 所有者:私道の持ち主が誰か、役所で調査する必要がある
STEP2:重要事項説明・売買契約(ハンコを押す前)
申し込みを行い、契約書にサインをする直前の段階です。 ここでは書類上の不備を徹底的に洗い出し、特約事項などでリスクを回避します。
【CHECK】書類の確認ポイント
- 権利部:抵当権(借金の担保)がついたままになっていないか
- 地目:「宅地」になっているか(農地の場合は許可条件付きか)
- 公図:地番・形状・道路との接し方(接道)が現況と大きくズレていないか
【POINT】契約条項の注意点
- 契約不適合責任:雨漏り等の欠陥に対する売主の責任期間はあるか
- 未登記:未登記部分の処理費用は、誰が負担するか
- 解除条件:ローン特約や農地転用許可が得られない場合の白紙解除
【MEMO】古民家の免責とは
- 特約:売主は、引き渡し後の雨漏りなどの責任を負わない
- 理由:古い建物は経年劣化していて当たり前、という前提があるため
- 対策:その分、価格を安くしてもらうなどの交渉材料にする
STEP3:決済・引渡し・登記(お金を払う時)
いよいよ代金を支払い、家の鍵を受け取る最終段階です。 司法書士が立ち会い、確実に名義変更が行われるかを見届けます。
【CHECK】決済時の確認事項
- 境界確認書:隣地所有者との筆界確認書などの原本を受け取る
- 登記申請:代金支払いと同時に、司法書士が法務局へ申請する
- 精算:固定資産税などの日割り計算が正しく行われているか
【ALERT】必要書類の不備
- 権利証:売主の権利証(登記識別情報)が揃っているか
- 印鑑証明:売主の印鑑証明書の期限(3ヶ月以内)は有効か
- 本人確認:売主本人であることを免許証などで最終確認する
STEP4:引渡し後(住み始めた後)
無事に家を買えた後も、手続きは残ります。2026年4月1日から施行され、施行前の住所等変更にも経過措置があります(詳細は法務省Q&Aで確認)。原則2年以内の申請が求められます。
【CHECK】入居後の手続き
- 住所変更:登記簿上の住所を、新居(離島の住所)に変更する
- 挨拶回り:境界確認等で協力してもらう可能性があるため重要
- 自治会:地域の自治会や町内会への加入手続きを行う
【POINT】義務化への対応
- 期限:住所や氏名の変更日から2年以内に変更登記の申請が必要
- 過料:正当な理由なく怠ると、5万円以下の過料の対象となる可能性がある
- 連動:他の登記と合わせて、司法書士に相談すると手戻りが減る
- 出典:住所等変更登記の義務化特設ページ(法務省)



特に「私道」は要注意だにゃ。通行権がないと家に帰れなくなることもあるにゃ。契約書にハンコを押す前に必ず確認するんだにゃ!
まとめ|離島の家探しは「リスクを知ること」から始まる


今回は、離島の物件購入でつまずきやすい「境界」「未登記」「農地」などのリスクと、契約〜引渡しでの確認ポイントを解説しました。
【POINT】今回のまとめ
- 地雷:離島不動産は「境界不明」「未登記」「農地」が3大リスク
- 確認:現地の見た目だけでなく、必ず「登記簿」と照らし合わせる
- 解決:「私道」や「配管」などの権利関係は、購入前に解決する
- 対応:相続登記義務化など、最新の法改正に対応した手続きを行う
最初は難しく感じても、見るべき順番が分かれば対策はできます。
不安な点は「書類で確認→特約で条件化→専門家に相談」の順に進めると、手戻りが減ります。
焦って契約せず、チェックリストを片手に「整理できる物件か」を見極めてください。



面倒な確認こそが、理想の島暮らしへの近道だにゃ。慎重に選んだ「城」で、最高のスタートを切るにゃ!








