はじめに|憧れの古民家暮らし、その「総額」は見えていますか?

都会の喧騒を離れ、離島の古民家でスローライフを送るのは多くの人の憧れです。 空き家バンクには100万円台の格安物件も並んでいますが、それはほんの「入場料」に過ぎません。
離島では輸送費や職人の確保の影響で、改修費が当初の見込みを大きく上回る場合があります。 予算の立て方と「プロに任せる線引き」を先に知ると、契約後の想定外を減らせます。
この記事では、離島で古民家を購入する際の費用感と、DIYで失敗しやすいポイントを解説します。
【POINT】離島古民家リノベで押さえる3点
- 相場: 格安物件の理由と、海が見える物件のプレミア価格。
- 総額: 購入費以上に重くのしかかる「改修費」のリアル。
- 注意: 素人が手を出してはいけないDIY箇所と資材調達の壁。

やあ、みんな!ココロ船長だにゃ。 梁の裏でシロアリが大運動会もあるにゃ。島のリフォームは、常識が通じない「魔境」だと心得るにゃ!
離島の古民家、購入価格の相場と実態


まずは入り口となる「物件購入費」ですが、離島の不動産市場は非常に特殊です。 取引事例が少ない地域では、立地や管理状態、売主事情で価格がぶれやすく、相場感をつかみにくいのが実情です。



「言い値」で決まることも多い世界だにゃ。 ご近所付き合いの延長で、驚くような値段で譲ってもらえることもあるにゃ〜。
100万円以下も?「格安物件」の理由
空き家バンクでは数十万円〜数百万円台の物件もありますが、安さには理由があり、多くは改修前提です。 また、取引形態(仲介の有無など)は自治体で異なるため、手続きと費用(仲介手数料など)も事前に確認しましょう。
【POINT】安さの裏にある事情
- 老朽化: 築年数が古く、耐震性が十分でない場合がある/雨漏りがあることも。
- 放置: 長期間人が住んでおらず、床や畳が腐食している。
- コスト: 解体しようにも費用が高額すぎるため、タダ同然で手放す。
【CHECK】購入時の心構え
- 土地代: 価格はほぼ「土地代」のみと考える。
- 修繕前提: 住める状態にするには、購入額の数倍の費用がかかる。
- 残置物: 前の住人の荷物が山積みのまま引き渡されることが多い。
「海が見える」物件のプレミア価格
一方で、「海が目の前」「高台のオーシャンビュー」といった好条件の古民家は別格の扱いを受けます。 人気エリアでは買い手がつきやすく、条件の良い物件ほど価格が上がりやすい傾向があります。
【POINT】プレミア物件の特徴
- 価格帯: 500万円〜1000万円以上で取引されることもある。
- 状態: リノベーション済みや、すぐに住める状態のものが多い。
- 競争: 空き家バンクに出る前に、口コミで買い手が決まることも。
【CHECK】海のそばのリスク
- 塩害: 車や室外機、金属部が錆びやすいので対策が必要。
- 風: 台風時の風当たりが強く、窓ガラスの補強が必要。
- 湿気: 海風による湿気がすごく、カビ対策が欠かせない。



海の近くは景色最高だけど、家へのダメージも最高レベルだにゃ。 サッシが錆びて開かないなんて日常茶飯事だから、覚悟して住むにゃ!
購入費だけじゃない!リノベーション費用の総額目安


離島のリノベは輸送費や出張費が乗りやすく、購入後に予算超過しやすい点が要注意です。 最もコストがかさむ部分なので、事前の見積もりが欠かせません。



ここが一番の落とし穴だにゃ! 「見積もりを見たら、家を買った値段の5倍だった」なんて話、島じゃよくある怪談だにゃ…。
フルリノベーションなら1000万円コース
水回りから屋根、断熱改修まで含めたフルリノベーションを行う場合、新築並みの費用がかかります。 工事範囲と劣化状況次第で、数百万円〜1000万円超まで幅が出ます。特に水回り・断熱・耐震・屋根をまとめて直すと高額になりやすいです。
【ALERT】主な高額出費項目
- 断熱工事: 古民家は隙間風が出やすく、断熱は快適性の要になります。
- 耐震補強: 倒壊リスクを下げるため、基礎や壁の補強が必要。
- 屋根修理: 台風対策として、瓦の固定や葺き替えを行う。
【MEMO】費用の考え方
- 段階的: 一気にやらず、住みながら少しずつ直すのも手。
- 優先順位: 雨漏りと水回りだけは最初にプロに頼む。
- 補助金: 自治体の改修補助金を使えば負担を減らせる。
離島ならではの「輸送費」と「人件費」上乗せ
なぜ離島のリフォーム費用は、本土よりも割高になってしまうのでしょうか。 最大の要因は、海を渡るための「輸送コスト」と、島内の深刻な「職人不足」にあります。
【POINT】コスト増の仕組み
- 資材: 木材やキッチンなどの建材をフェリーで運ぶため、輸送費が加算される。
- 職人: 島内に職人がいない場合、本土から呼ぶ必要がある。
- 出張費: 交通・宿泊・日当が追加されやすい。
【CHECK】見積もりの注意点
- 比較: 島内の業者と、本土の業者の両方から見積もりを取る。
- 工期: 資材が届かないと工事が止まるため、工期が延びやすい。
- 相場: 同じ工事内容でも、輸送費・出張費の有無で割高になりやすい点は織り込んでおきましょう。
水回りの交換費用(キッチン・風呂・トイレ)
生活の質を左右する水回りのリフォームは、特に高額になりがちです。 下水道が整備されていない地域では、浄化槽の設置工事も必要になります。
【CHECK】水回り費用の目安(輸送費込・一例)
- キッチン: システムキッチン交換で100万〜200万円。
- お風呂: ユニットバス交換で150万〜250万円。
- トイレ: 汲み取りから水洗への変更(浄化槽込)で100万〜300万円。
- ※仕様・配管状況・出張の有無で大きく変動します。
【ALERT】浄化槽の設置
- 工事: 地面を掘ってタンクを埋める大規模な工事が必要。
- 補助: 浄化槽設置は、自治体によって補助制度がある場合があります。
- 維持: 定期的な点検と清掃コストがランニングコストとしてかかる。



水回りが死んでると、どんなに部屋が綺麗でも生活できないにゃ。特に浄化槽は高いけど、ここをケチるとトイレが使えないから最優先だにゃ!
自分で直す?離島DIYの魅力と厳しい現実


予算を抑えるために、「できるところは自分でDIY」と考える人も多いでしょう。 自分の手で家を作るのは魅力的ですが、離島環境でのDIYには特有のハードルがあります。



DIYは楽しいけど、甘く見ちゃダメだにゃ。 ホームセンターがない島で、釘一本買い忘れただけで作業が1週間止まることもあるんだにゃ!
ホームセンターがない!資材調達のハードル
多くの離島には大型ホームセンターがなく、必要な材料がすぐに手に入りません。 「足りないからちょっと買いに行く」ができないため、段取りの悪さが致命的な遅れに繋がります。
【ALERT】資材調達の悩み
- 店舗: 小さな金物屋さんしかなく、専門的な工具や建材がない。
- 通販: 長尺物(木材)や重量物は、送料が高額か配送不可になる。
- 時間: 注文してから届くまで数日〜1週間かかる。
【CHECK】対策と工夫
- 買出し: フェリーで本土へ渡り、トラックで大量に買い込む。
- 通販: 離島配送に強いサイトや、送料無料のサービスを駆使する。
- ストック: 消耗品(ネジ、塗料、刷毛)は多めにストックしておく。
素人が手を出してはいけない箇所
節約したい気持ちはわかりますが、安全と法律に関わる部分はプロに任せるべきです。 無理に自分でやって事故を起こすと、リカバリーに余計な費用がかかります。
【ALERT】DIY禁止・危険ゾーン
- 電気工事: 配線の接続やコンセント増設は原則、有資格者が必要(※一部の『軽微な工事』を除く)。
- ガス工事: LPガスの機器接続・配管工事は、液化石油ガス設備士などの有資格者が前提です。
- 構造部: 柱や梁を勝手に切ると、家が倒壊する恐れがある。
- 屋根: 高所作業は転落死のリスクがあり、雨漏り修理も技術が必要。
【MEMO】プロとの分担
- プロ: インフラ、構造、屋根、危険な作業。
- 自分: 壁の塗装、床板貼り、棚作り、庭の整備。
- 結論: 餅は餅屋。資格が必要な工事は絶対にプロへ依頼する。
廃材処理の壁
リノベーションで出た大量のゴミ(廃材)の処理も、離島では大きな問題です。 島の処理施設は能力が限られており、簡単に捨てられないケースが多々あります。
【CHECK】廃材処理のリアル
- 分別: 木材、石膏ボード、金属などを厳密に分ける必要がある。
- 搬出: 島内で処理できず、船で島外へ運ぶ場合は費用が跳ね上がる。
- 量: 解体ゴミは想像以上の量になり、庭を埋め尽くすこともある。
【ALERT】やってはいけないこと
- 野焼き: 廃棄物の野外焼却は原則禁止です。廃材は燃やさず、自治体・業者ルートで処理しましょう。
- 不法投棄: 山や海に捨てると、島では発覚しやすく、信頼を失いやすい。
- 放置: ゴミを溜め込むと害虫(シロアリ・ムカデ)の温床になる。



ゴミの捨て方でその人の本性が見えるって島の人たちは言うにゃ。 「立つ鳥跡を濁さず」じゃなくて、「住む鳥ゴミを燃やさず」だにゃ!
失敗しないための購入手順とチェックポイント


リスクの多い離島の古民家購入ですが、事前の準備を徹底すれば理想の暮らしは実現できます。 契約のハンコを押す前に、以下のポイントを必ず確認して「想定外」を減らしましょう。



勢いだけで買っちゃダメにゃ! 石橋を叩いて、さらに建築士さんにも叩いてもらってから渡るのが正解だにゃ。
契約前に建築士や大工に見てもらう
素人判断では見えない劣化を見落としやすいので、費用を払ってでも建築士や大工に同行してもらい、改修費の概算まで出してもらいましょう。 あわせて、接道条件(再建築可否)・境界・登記(相続未了など)も契約前に必ず確認してください。
【POINT】プロに見てもらうべき箇所
- シロアリ: 床下の土台や柱が食い荒らされていないか。
- 傾き: 建物の基礎が沈下したり、傾いたりしていないか。
- 雨漏り: 天井裏に雨染みがないか、屋根の状態はどうか。
【MEMO】調査にかかるコスト
- 費用: インスペクション(建物状況調査)で5万〜10万円程度。
- 出張費: 本土から呼ぶ場合は、交通費と宿泊費が別途必要。
- 価値: 購入後の数百万円の損を防げるなら、安い保険といえる。
補助金制度の活用
多くの離島自治体では、移住者による空き家再生を金銭面で支援しています。 数百万円単位で変わってくるため、使わない手はありません。
【CHECK】補助金の条件例
- 対象: リフォーム費用、家財道具の処分費、購入費など。
- 時期: 原則として「工事契約前」「着工前」の申請が必要。
- 業者: 島内の施工業者を利用することが条件の場合が多い。
【POINT】代表的な支援メニュー
- 改修補助: リフォーム費用の1/2〜2/3(上限50万〜200万円)。
- 家財処分: 残置物の撤去費用(上限5万〜20万円)。
- 家賃補助: 定住するための賃貸物件の家賃を一部補助。



補助金は「知ってる人だけが得をする」ルールだにゃ。 工事を始めてからじゃ遅いから、必ず契約前に役場へダッシュだにゃ!
まとめ|「不便」と「コスト」を愛せるか


今回は、離島の古民家リフォームの現実と、物件選びで絶対に確認すべきポイントを解説しました。
【POINT】古民家購入の要点
- 総額: 物件費は一部。改修は規模次第で数百万円〜1000万円超まで幅が出る。
- 特殊: 輸送費や出張費の影響で、本土より工事費が高くなりやすい。
- DIY: 資材調達が難しく、プロに任せるべき領域も多い。
- 準備: 契約前のプロ診断と、補助金の確認を徹底する。
離島でのリフォームは、資材の運搬費や職人の確保など、本土とは異なるハードルが数多く存在します。
安易なDIYですべて解決しようとせず、まずは水回りや基礎といった「生活の要」にしっかりと予算を割くことが、失敗しない移住への近道です。
家を直す過程そのものを島暮らしの楽しみの一つと捉え、焦らず時間をかけて、安全で快適な理想の拠点を作り上げてください。



手がかかる古民家も、直す過程を楽しめば「家族」になるにゃ。島の人と仲良く、ゆっくり家作りを楽しんでほしいにゃ!








