はじめに|灯台の名前、よく見ると漢字が違う?

日本全国の灯台を巡っていると、ふと疑問に思うことはありませんか?
「犬吠埼灯台(いぬぼうさき)」のように「埼」を使う時もあれば、「崎」という漢字が使われる地名(例:長崎)もあります。
また、静岡県の御前崎のように、灯台名は「御前埼灯台」、地名は「御前崎市」と、同じ場所で表記が混在している代表的な例もあります。
どちらも「さき」と読みますが、この漢字の違いは一体何なのでしょうか。
この記事では、「埼」と「崎」という漢字の使い分けに焦点を当て、海図(海上保安庁)と地図(国土地理院)で表記が異なる背景や、実地名・灯台名の表記差が生じる理由をわかりやすく解説します。

やあ、みんな!ココロ船長だにゃ! 今回の灯台探検は、地名の「漢字」に隠された秘密の航海だにゃ!「埼」と「崎」って、どっちも「さき」だけど何が違うのかにゃ? 船長も海図を見て「おや?」と思うことがある、この謎!一緒にスッキリ解き明かしていこうにゃ!
「埼」と「崎」の決定的な違いとは?


「埼」と「崎」の違いは、単に部首だけの違いではありません。
この「土(つちへん)」と「山(やまへん)」という部首の違いこそが、それぞれの漢字が持つ意味や使われ方の「理由」を解き明かす最大のヒントになっているのです。



来たにゃ! 答えは「部首」にあり!だにゃ。 漢字の成り立ち、つまり「地名の由来」にも関係する、深い話なんだにゃ。
「埼」(部首:土)- 平地が突出した土地
「埼」の字をよく見てください。 部首は「土(つちへん)」で構成されています。
海上保安庁の解説では、「陸地(平地)が水部へ突出したところ」といった慣用上の説明が示されることがあります。この「平坦な突端」というニュアンスから、特に海上保安庁(海図)では慣用により概ね「埼」が用いられてきました。
その結果、現在では「灯台」や「岬(海図上)」の正式名称として使われることが最も多い漢字となっています。
【「埼」を用いる主な灯台(抜粋)】
犬吠埼灯台(千葉)/観音埼灯台(神奈川)/尻屋埼灯台(青森)/ 御前埼灯台(静岡)/江埼灯台(兵庫)/龍飛埼灯台(青森)
「崎」(部首:山)- 山地が突出した土地
一方の「崎」は、部首は「山(やまへん)」です。
「埼」が平地の突出に対応する慣用で語られるのに対し、海保の用語解説では、「平野の中に突出した山地の鼻等」を表すとされ、地名の「長崎」などが地形イメージに合致します。
この「山がちな突端」というニュアンスから、古くから一般的な「地名」として、また国土地理院(陸の地図)の表記として広く使われてきました。その結果、現在では市町村名や観光地の名称などで見かけることが最も多い漢字となっています。
【「崎」を用いる主な地名(抜粋)】
足摺崎(高知)/大崎(各地)/城ヶ崎(静岡)/ 長崎(長崎)/野崎(各地)/宮崎(宮崎)
ルールは絶対?- 地図の歴史と機関ごとの慣習
では、この「土=平坦」「山=険しい」という使い分けは、絶対的なルールなのでしょうか。
結論から言うと、そうとは限りません。
実は、国土地理院(陸の地図)は歴史的な経緯から「崎」の表記が多く、海上保安庁(海の地図=海図)は慣例的に「埼」を使用してきました。
なお、この表記統一は「岬の規模(大/小)で埼・崎を分ける制度」ではなく、国土地理院や海上保安庁などが参加する協議体(地名等の統一に関する連絡協議会)で、歴史的用例を踏まえながら機関間で調整・統一が進められてきたものです。
その結果、地名側(市町村名・観光案内等)では歴史的経緯から「崎」が残る例が多く、施設名としての灯台は海図の慣用に従い「埼」を用いるケースが一般的です。
【表記が混在する代表例】
| 灯台の名称(「埼」の使用例) | 地元の地名(「崎」の使用例) |
| 御前埼灯台(静岡県) | 御前崎市 |
| 観音埼灯台(神奈川県) | 観音崎公園 |
| 犬吠埼灯台(千葉県) | 犬吠崎(岬の通称) |
| 龍飛埼灯台(青森県) | 龍飛崎(地名) |
| 尻屋埼灯台(青森県) | 尻屋崎(地名) |
| 江埼灯台(兵庫県) | 江崎(地名) |
【補足】第三の漢字「碕」とは?
「埼」「崎」のほかに、岬の先端を表す漢字として、まれに「碕(さき・みさき)」という字が使われることがあります。
これは「石」へんに「奇」と書くことからも分かるように、「山がちで岩の多い岬」といった意味合いを持つ、古い表記(「崎」の異体字)とされています。
最も有名な例が、日本一高い灯台である「出雲日御碕(いずもひのみさき)灯台」です。 このように、公的な灯台の名称や歴史的な地名として、この「碕」の字が今も残っている珍しいケースがあります。



なるほどにゃ! 「埼」は平地の突き出し、「崎」は山地の突き出し、っていうのが基本のイメージなんだにゃ。でも、もっと大事なのは「地図の種類(陸か海か)」や「昔からの呼び名」だったんだな! 「御前埼灯台」がある場所が「御前崎市」なのは、そういう理由だったのかにゃ。奥が深いにゃ~。
まとめ|漢字の違いを知れば灯台巡りがもっと楽しくなる
今回は、「埼」と「崎」の違いについて、その漢字の成り立ちや使われ方の傾向を解説しました。
- 「埼」(土へん)は、「平地が突出した土地」を指す傾向があり、海上保安庁(灯台名)では概ね用いられる。
- 「崎」(山へん)は、「平野の中に突出した山地の鼻等」を指す傾向があり、国土地理院(地名)で歴史的に多く使われてきた。
- これらは厳密なルールではなく、歴史的な慣習や機関ごとの表記の違いが大きく影響している(例:御前埼灯台 vs 御前崎市)。
この豆知識を知っていると、「この灯台は『埼』を使っているけど、地名は『崎』なんだな」などと、その土地の歴史や地図の違いに思いを馳せることができ、灯台巡りがもっと楽しくなるはずです。



地名や漢字の豆知識は、まさに航海のスパイスだにゃ! これでみんなも、灯台の名前を見ただけで「おっ?」と思える、立派な灯台探検家だにゃ! 次の航海(記事)も、海のナゼ?を探っていくから、お楽しみににゃ!













